墓地を利用するデッキは数多く存在する。複雑なギミックもあれば、単純にフラッシュバックを利用するだけのこともある。

Pauperフォーマットで墓地利用デッキをそれなりの数回してきて、墓地利用デッキとは、という普遍的なこともある程度書けるかと思い、記事にしてみた。


◆墓地を利用する
派手なカードの少ないPauperフォーマットにおいて、
ライフやハンドアドバンテージの量が勝敗に通じるデッキは多い。

《予言のプリズム》などのCIP持ちを《コーの空漁師》で再利用する、
《熟考漂い》《血の署名》などで複数枚カードを引くなど、
コモンだけのフォーマットとはいえ多様な方法がある中で「墓地に落ちたカードを再利用する」という方法がある。

例えばフラッシュバック、不朽、蘇生。
これらは他のカードの補助なくして墓地から直接再利用することができるので、
墓地利用をコンセプトとしていない多くのデッキで利用されている。
(墓地利用デッキを使う場合はフラッシュバック呪文の流行に目を配っておいた方がいい。《虹色の断片》《金切るときの声》《炎の稲妻》など
メジャーなカードへの対策に巻き込まれる恐れがあるからだ!)

《記憶の壁》などパーマネントでありつつ墓地のカードを手札に戻すカードは1枚分のアドバンテージをもたらす。
また、《墓の刈り取り》のように大量から墓地のカードを戻せばその分だけアドバンテージとなる。

探査、スレッショルドは墓地利用の違ったアプローチで、追放した分だけマナコストが軽減されたり、
墓地の枚数が多ければ大きな効果が得られる。墓地のカードをテンポ・アドバンテージに転化している。

ただし、墓地利用をする時の共通の難点として「墓地にカードが存在する」ということが前提条件となる。
当たり前のことかもしれないが、例えばライブラリーにカードが存在しないことはほぼないので、同じコストなら大量にカードを引く方が安定性があるかもしれない。

墓地利用のメリットは何だろうか。私は以下の利点があると思っている。
①コストが軽い
同じ量のカードを引く場合よりもコストが安いことが多い。
フラッシュバックなどで考えてもアドバンテージを得るコストはカードを引く→唱えるのステップを省略して直接唱えるので非常に安いことが分かるだろう。
探査であれば墓地のカードすべてを1マナ発生するカードとして使っているのだから破格である。リアニメイトの有用性は言うまでもない。

②選択肢が広い
ライブラリーの中身はシャッフルされている。
そこから1枚を引いたとき、それは決定打かもしれないし、土地かもしれない。
(占術は引きたいカードを引くための良いアプローチだが、今回の話からは脱線する)
墓地利用をするカードは、墓地の中から任意のカードを回収するものが殆どだ。
《グール起こし》《憑依された沼墓》などのランダム要素があっても構築次第でそれを最小限にすることはできる。墓地の枚数が増えれば選択肢が増える。
《過去との取り組み》は選択肢を増やした上で回収する自己完結したカードだ。
Pauperにはライブラリーからサーチするカードはほぼなく、墓地から任意のカードを回収する手段は無数にある。この選択肢の広さを活かさない手はない。

③1枚刺しが活きる
1枚刺しのカードは通常1度しか使うことができない。
しかし墓地から回収する手段があれば、繰り返し使える可能性が出てくる。
ご存知《幽霊のゆらめき》を主軸にするデッキは、必ずしも《ゆらめき》を4積みする必要がない。
《記憶の壁》が回収してくれるからだ。
(そのため《ゆらめき》デッキには墓地対策が割と有効だ)

では、墓地を有効に使うにはどうすれば良いのか
①墓地を利用するコストを低くする
墓地を利用して出来ることは、大抵手札から唱えても出来ることで、そのコストが手札からプレイするより高くついては意味がない。他のカードで墓地を肥やして《わめき騒ぐマンドリル》をプレイするのに常に5マナを費やしていては、手札から《ファングレンの狩人》を出すのと大差がない。

②墓地を肥やして選択肢を広げる
《サテュロスの道探し》などを使って墓地のカードを増やす(肥やす)ことは、墓地から回収できるカードの種類を増やすことにつながる。
注意が必要なのは、墓地を肥やすこと自体は盤面に全く影響しないということである。
《叫び角笛》は効率の良い墓地肥やしカードだが1枚分のアドバンテージを失う。
いかに選択肢が増えたとしてもそこからカードアドバンテージ、テンポアドバンテージを得なければ意味がない。
また、墓地を肥やすことは墓地対策の効果を上げてしまうことにつながる。頑張って墓地を40枚落としても利用する前に《ボジューカの沼》に追放されてしまっては意味がない。
選択肢を広げるのは楽しいがそればかりでは勝てない可能性が高い。

③繰り返し使えるようにする
使用したインスタント・ソーサリー、生け贄能力をもつパーマネントは墓地に置かれる。つまり、回収する対象になるということだ。
同じ呪文を繰り返し使えることの強さは《転覆》などを見れば分かる。
この極致が《記憶の壁》+《幽霊のゆらめき》+《ムラーサの胎動》で、トロンなどのバックアップを受けて回り始めたこれを止めるのは難しい。


◆墓地利用は計画的に
墓地は大いに利用できるリソースだが、同時に失われやすい。具体的に言うと1マナ以下の効果で全部追放される。
《大祖始の遺産》《ボジューカの沼》《虚無の呪文爆弾》がメジャーな墓地対策だろう。《大祖始の遺産》を除き黒に親和性があるが黒いデッキ以外でも利用可能である。
その効果は墓地のカードを全部追放した上でカードを1枚引く、またはタップインの土地が出る。つまりは殆どテンポやカードのロスがない。
この3枚の存在が墓地利用デッキの戦略を難しくしている。構築の際はその存在を念頭に置かなければいけないだろう。

《大祖始の遺産》
タップで墓地のカードを1枚追放。1マナと生け贄で各プレイヤーの墓地のカードをすべて追放+1枚ドロー。
強いが、隙がないわけではない。墓地の全追放には2マナがかかるが、1マナを残さずに出された遺産はアーティファクト破壊の的である。
仮に1マナが立っていたとしても、アーティファクト破壊を撃つことで不本意なタイミングでの能力起動を強制できるだろう。またタイミングによっては《強迫》などで捨てさせることも出来るかもしれない。
一番厄介なのは、複数枚を同時に並べてタップ能力で延々と墓地を追放されるパターン。アーティファクト破壊を使わない限り、墓地を利用するのは厳しくなる。

《ボジューカの沼》
手札破壊も打ち消しも効かず、マナも使わないある意味最強の墓地対策。
弱点もまた土地であること。
マナベースの一部として換算するとどうしてもプレイするタイミングが早まる。マナスクリューの煽りで1ターン目にプレイされることもしばしば。
逆に言うと《コーの空漁師》などから任意のタイミングで出し入れされると対策が非常に難しい。

《虚無の呪文爆弾》
《大祖始の遺産》と同じく1マナのアーティファクトで、生け贄に捧げると墓地を追放するとともに1ドロー。
大きな違いは起動にマナがかかるかどうか。最高のタイミングで墓地を追放するには《大祖始の遺産》は1マナを立てておく必要があるが、
呪文爆弾はその隙が無い。1ドローを当てにするのであればやはりマナを立てる必要があるが、少なくとも墓地対策としては仕事をする。
とはいえ《遺産》のようにタップ能力で延々と墓地を縛られることはない。早々に切らせてしまえば比較的御しやすいといえる。


◆最後に
Pauperはほかのエターナル環境に比べれば遅い環境だ。墓地利用に関してもそれは当てはまる。
コストを踏み倒して戦場に出す手段は《死体発掘》《発掘》のみで、
他のカードでプレイしなおすには大抵正規以上のコストがかかることになる。
《死せる生》で一気にクリーチャーを戻すこともできないし《戦慄の復活》で1ターン目に勝負を決めることもできない。
キルターンが長いということは墓地対策の脅威にさらされやすいということでもある。
それでも墓地をリソースとして運用する手段はたくさんあるし、そしてそれは楽しいものになるだろう。

では、良い墓地利用ライフを。

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